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五條の「宝」を守る若き住職

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生駒 龍明

生駒 龍明

奈良のお寺は、江戸時代に檀家制度ができる前の創建であることで、檀家を持たないお寺も多いのが特徴のひとつです。檀家がないお寺は、日々訪れる参拝者からの収入や寄付によって支えられています。しかしその多くは、コロナ禍での参拝者の激減により、厳しい財政状況に直面しています。お寺の文化財の修復のため、クラウドファンディングに二度にわたって挑戦した若き住職の方の存在を知りました。五條市の榮山寺を訪ね、ご住職の生駒 龍明(いこま りゅうみょう)さんにお話をうかがいました。

CONTENTS

20代で1300年続く古刹の住職に

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1994年の生まれで、まだ20代とお若いですが、榮山寺のご住職になられるまでの経緯についてお聞かせください。

奈良県明日香村のお寺に生まれました。大学を出た後、長谷寺で修行し、僧侶となりました。父が数年前に縁あって、榮山寺の住職を引き継ぎました。私も、住職と一緒に榮山寺で働くことになりましたが、2016年に住職を継ぎました。

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榮山寺は奈良時代から続く、古くからのお寺なのですね。

榮山寺は、奈良時代の719年に藤原武智麻呂(ふじわらのむちまろ)により創建されたと伝えられています。藤原武智麻呂は、大化の改新で活躍した中臣鎌足(なかとみのかまたり)の子である藤原不比等(ふじわらのふひと)の長男です。

国宝八角堂

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開放的な敷地に、鐘楼、本堂、八角堂が点在し、散歩するのに気持ちのよい場所です。

お訪ねいただき、ありがとうございます。
榮山寺には国宝が2つあります。ひとつが八角堂で、天平宝字4年(760年)から8年(764年)に藤原武智麻呂の菩提を弔うために、子の仲麻呂が建立したと伝えられる八角形の建物です。平城京があった奈良市や、法隆寺のある斑鳩以外の地区にある奈良時代の建築として、とても貴重なものです。

榮山寺 八角堂(国宝)

もうひとつの国宝は梵鐘で、銘文から延喜17年(917年)につくられたものであることがわかっており、京都の神護寺、宇治の平等院の鐘と共に「平安三絶の鐘」と呼ばれています。鐘上部の「龍頭」の細工も鮮やかです。
この他に本尊の薬師如来座像や木像十二神将立像など重要文化財5件、奈良県指定文化財2件を含む多くの寺宝を有します。

榮山寺 梵鐘(国宝)

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奈良県南部の自然豊かな五條市のお寺に、これだけの文化財が集まっているのは驚きですね。

当寺を訪れた方も、気付かずに素通りされてしまうこともあるようです。境内を案内して、由来をご説明すると「とても貴重な文化財ですね」と感動していただけます。

2度のクラウドファンディング

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2021年からクラウドファンディングを始められています。ご住職として境内を案内したりすることに比べて、クラウドファンディングというのは、かなり思い切った取り組みのように思います。なにかきっかけがあったのでしょうか。

当寺に伝わる「栄山寺文書」107点が、奈良県の指定文化財に選ばれました。状態があまりよくなかったため修復が必要だったのですが、補助金をいただいてもかなりの金額を負担しなければなりませんでした。

栄山寺文書(奈良県指定文化財)

当時、聖林寺(奈良県桜井市)が、国宝十一面観音立像を収める観音堂の改修のために、クラウドファンディングを実施して話題になっていました。また、クラウドファンディングサービスの「Readyfor」が、2019年から南都銀行と、地域活性化の取り組みに対してクラウドファンディング活用を推進する業務提携を開始していました。

令和という新しい時代に何か住職としてできることがないだろうかと思い、クラウドファンディングへ挑戦することを決意しました。単に寄付を募ってもそれを広く知っていただくのは難しいですが、クラウドファンディングを実施することで、ネット上でもっと広く情報発信が行えますし、当寺自体のPRにも繋げることができると思い挑戦を決意いたしました。

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クラウドファンディングを行うに際しては、「All or Nothing型」(※)を選ばれたとのことですね。文化財の修復という社会的な意義が高い事業ですので「All In型」(※)でもよかったようにも思います。


All or Nothing型
宣言した目標金額を達成した場合のみ、支援金を受け取ることができる形態。

All In型
目標金額の達成の有無にかかわらず、集まった支援総額を受け取ることができる形態。

実際に切羽詰まった事態でしたし、「All In型」は、プロジェクトを必ず実行しなければならず、当寺はその資金を賄うこともむずかしく「All or Nothing型」で実施しました。最初は、クラウドファンディングについて、どう呼びかけていいのかわからず悩んだこともあったのですが、直接チラシを配布したり、当寺のfacebookやInstagram、各種SNSでも呼びかけました。 結果としてクラウドファンディングは成立したのですが、特に五條市のみなさまのご協力なしには達成できませんでした。ご支援いただきましたみなさまには大変ありがたい気持ちになりました。また、太田五條市長にもお会いし、榮山寺は五條市の方々にとっても、守り、後世に伝えていかないといけない「宝」であることを実感いたしました。2021年3月~4月にかけての実施で、目標金額の100万円を上回る1,756,000円のご支援をいただくことができました。

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この成果を受けて、2022年10月~11月にかけての第2弾のクラウドファンディングを実施されたのですね。

榮山寺 阿弥陀如来坐像

国宝八角堂の堂内に安置されていた、損傷の激しい4体の仏像の修復のために2回目のクラウドファンディングに挑戦しました。八角堂自体は国宝に指定されているため、国や県などからお堂に関係する修復費用を補助していただくことはできますが、堂内の仏さまの修復費用に充てることはできないのです。

クラウドファンディングの期間内には、普段は入ることができない八角堂の特別拝観を行いました。また、紅葉美しい境内でのスケッチ会や数珠ブレスレット作り体験、境内の古民家では五條市の特産物である柿と豆乳を使った台湾スイーツを提供するイベントなども実施しました。プロジェクトのウェブサイトでは、「榮山寺文書」の公開修復を行っている「なら歴史芸術文化村」の三原村長からメッセージをいただくなど、支援の輪が確実に広がっていることを感じました。今年のクラウドファンディングは、同じ奈良県内の法隆寺や大安寺のクラウドファンディングなどが話題になっていたことや、参拝された方が事前にクラウドファンディングをある程度ご存じである方が多く、説明しやすいと思いました。結果として、目標金額の300万円を上回る4,155,000円のご支援をいただきました。

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クラウドファンディングのお礼の品も多彩ですね。

はい。国宝八角堂を繊細な切り絵で表現している御朱印を、通常は当寺および郵送で授与しておりご好評をいただいているのですが、お礼の品に加えました。お線香も「落ち着く香りがいいかな」と選んで限定のものをつくっていますし、クラウドファンディング限定のクリアファイルも作成しました。

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いろいろと工夫されてクラウドファンディングを実施されてきたわけですが、生駒様がここまで力を入れることができるのはなぜなのでしょうか。

前住職である父が榮山寺で働く話を聞いた当初は、寺の文化財についてもそれほど知識を持っていませんでした。実際に寺に入って、「こんな素晴らしいものがあったんだ。未来に遺したい。」と強く思いました。五條市の方々とお話して、当寺にとってだけではなく、五條市にとっても榮山寺や榮山寺の文化財が「宝」であることもわかりました。地元の方々が当寺にいらっしゃって、「がんばって」と声をかけていただけると、とてもうれしいです。

生駒 龍明

生駒 龍明(いこま りゅうみょう)

榮山寺 住職。
1994年奈良県明日香村生。2016年より現職。

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