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最先端技術で未来の観光を「共創」

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諏訪 博彦

諏訪 博彦

今年(2023年)夏。江戸時代からの町家の風情をつたえる奈良市「ならまち」で、興味深い観光DXの実証実験が行われているのを見つけました。「ならまちぐるり デジタルマップ」のサイトでは、ならまちの観光スポットを繋ぐ現地撮影のストリートビュー動画が目まぐるしい速度で表示されていました。

このような面白い仕組みを作り出した方にぜひお話をうかがいたいと思い、気候も落ち着いた秋の一日に、生駒市にある奈良先端大の研究室に諏訪 博彦(すわ ひろひこ)准教授を訪ねました。

CONTENTS

奈良先端大 正門

最先端の科学技術でイノベーションを「共創」する奈良先端大

諏訪准教授へのインタビューに入る前に、ナララボ編集部より奈良先端大についてご紹介します。


奈良先端大(奈良先端科学技術大学院大学)とは

奈良先端科学技術大学院大学は、日本の国立大学で学部を置かない理工系の大学院大学です。英語呼称はNara Institute of Science and Technology。略称NAIST(ナイスト)。

「けいはんな学研都市」(後述)の中核であり、1991年に国家戦略「科学技術立国」を背景に、最先端研究に資する教育体制・設備を持つ施設として創立されました。2023年4月時点の教員数は186名で、学生数は1153名。内、約4人に1人が留学生です。

けいはんな学研都市

けいはんな学研都市(正式名称:関西文化学術研究都市)とは、京都、大阪、奈良の3府県にまたがる京阪奈の緑豊かな丘陵において建設・整備を進められているサイエンスシティです。

東の「つくば研究学園都市」とともに国家的プロジェクトに位置付けられ、総面積は約15平方km。その中に150を超える研究施設、大学施設、文化施設などが立地します。各施設における就業者数(研究者及び職員)を合わせると概ね1万人となり、文化、学術研究等の分野で顕著な成果をあげています。

(出典:公益財団法人 関西文化学術研究都市推進機構HP)

奈良先端大は、2021年より現職の塩﨑一裕学長が「共創」をキーワードとして打ち出し、多様な分野での研究・産学連携・グローバル化などを通じて、社会課題の解決につながるイノベーションの創出を推進しています。

設置研究科は「先端科学技術研究科」で、「情報科学領域」・「バイオサイエンス領域」・「物質創成科学領域」の3つの領域が設けられています。

「バイオサイエンス領域」では、2012年にiPS細胞研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が、1999年~2007年の奈良先端大在籍期間に、iPS細胞に関する重要な研究成果を次々にあげられました。

今回お訪ねした諏訪准教授は、「情報科学領域」の「ユビキタスコンピューティングシステム研究室」に所属されています。それでは諏訪准教授に、まずは「ユビキタスコンピューティングシステム研究」についてたずねてみましょう。

奈良先端大 キャンパス

ユビキタスコンピューティングシステムがもたらす未来

──

「ユビキタスコンピューティングシステム研究」とは、どのようなものなのでしょうか。

私たちの住む実世界全体を対象に、情報の収集、分析、応用を行い、スマートな未来社会「Society 5.0」の実現を目指す研究です。

Society 5.0

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

(内閣府HPより引用)

情報の収集は、センシングと呼ばれるところですが、センサーを使ったり、街全体からであれば、人をセンサーに見立てて情報を集めます。集めた情報は、AI技術等を使って分析します。

多くの研究はこの分析の段階で止まります。それを実世界で応用するのは研究ではなく、企業等の事業者の仕事という考え方もありますが、私たちはその応用=実世界へのフィードバックも行います。フィードバックする際には、分析で得た優れた知見をどのようなかたちで見せれば、実世界によりよいかたちで還元できるのかを考えます。この収集、分析、応用のサイクルを回すというのが、私たちの研究室の特長になっています。

スマートホーム

家の居住者が、より快適に、より健康に過ごせるスマートホームの実現のための研究を進めています。プライバシーに配慮したセンシング技術を開発し、家電自動制御や家事のストレス軽減の実現を目指しています。

スマートライフ

人の状態を把握し、QoL(生活の質)が向上するような行動変容を促す(ナッジ)研究を行っています。一例として、食事をバランスよくゆっくり食べることで、リアルタイムでモニターにきれいな絵が描かれるIoTナッジの研究に取り組んでいます。

スマートシティ

街中から情報を集めて、持続可能な社会づくりを行おうとするもので、観光振興による街の価値向上も研究目的のひとつです。情報を集める際には、スマートフォンを持った人をセンサーとして見立てる参加型センシングという手法を使っています。

──

実際に社会に出ている商品やサービスよりも、もう少し踏み込んでいるのですね。レコメンド(おすすめ)ぐらいまでは、さまざまなサービスでも行われていますが、こちらの研究室における研究の応用過程では、実際の人間の行動を変容させるところまで実現させようとしていることがわかりました。

奈良先端大 × 南都銀行「ならまちぐるり デジタルマップ」

ならまちぐるり デジタルマップ

奈良先端大と南都銀行が創設した「地域共創推進室」による「観光振興プロジェクト」の実証実験です。2023年6月から8月の3ヶ月間にわたり実施されました。
(当該サイトの公開は終了しています。)

1

観光客が、スマートフォンで「ならまちぐるり デジタルマップ」のサイトにアクセスし、奈良市内「ならまち」の観光スポット20数ヶ所から、行きたい観光スポットを複数選択します。

2

複数の観光スポットをつないだ最適な経路が、奈良先端大が開発した「動画キュレーション」技術を活用した「道案内動画」で表示されます。不案内な観光地における移動を支援します。

3

動画の最後で、飲食店や土産物店舗で使えるクーポンが発券されます。

クーポンの例

4

JR奈良駅横の「奈良市総合観光案内所」に、スマートフォンでの利用と同じ体験ができる大型の「デジタルサイネージ」が設置され、観光客の利便性を高めます。

観光客の移動支援だけでなく、クーポンによる購買促進や、ならまち以外の場所からでも「道案内動画」の視聴により観光の疑似的体験ができることで、潜在観光客の発掘にもつなげます。

──

「ならまちぐるり デジタルマップ」は、奈良先端大と南都銀行が共同で実施された実証実験とうかがいました。
先ほどご説明いただいたユビキタスコンピューティングシステムの研究から、南都銀行と「観光振興による地域共創を一緒にやりましょう」という話には、どのような流れで結びついたのでしょうか。

元々、私たちは観光ナビゲーションの研究を多くやっていました。

よくある観光ナビゲーションでは「あなたのおすすめスポットはここですよ」と1ヶ所推薦するものがありますが、私たちとしては1日のプランを提供するものを作成していました。

特長としては「訪問適時性」と呼んでいたのですが「1番行きたい場所に、1番いい時間帯でいける」というものです。ただし、もしナビゲーションの利用者にとって1番行きたい場所と2番目に行きたい場所の希望度合いの差があまりなく、1番行きたい場所が他の場所から遠い場合には、あえて1番目を外して、2番目・3番目・4番目を回ることを提案することによって、トータルとしての満足度を上げられる仕組みでした。例えば京都の嵐山であれば、「保津川下りに行ったら何時間もかかるので他は回れませんが、プランから川下りを外せば他の複数の寺社を回れます」という提案ができるのです。

京都 嵐山 渡月橋

ただこのナビゲーションは、基本的に利用者の「満足度」しか見ていませんでした。そこで次の課題として、利用者の限られた「時間」・「体力」・「費用」と、場所の「混雑度」の4つを満たす「多目的最適問題」を解決するナビゲーションというのを研究発表しました。

こうやってナビゲーションのコースができると、地図で出力されます。ただ実際にそれを活用しようとすると、利用者の中で「地図を読める人」と「読めない人」が出てくることが問題になってきたんですね。地図を見ていても「道に迷いました」という人がいる。「北とか南とか言われてもわからない。どこどこの建物を右に曲がって」という説明でないとわからない。それを解決するために、私たちは「実際に歩いた動画を見せて、ここをこういうふうに曲がります」という動画を作成することにしました。

ただし30分の道のりをそのまま動画で見せると、視聴に30分かかって役立たないので、例えば1分などの短時間で見せる。1分で見せるのですが、ポイントのところはちゃんとわかるようにするのはどうすればいいのか、ということで「動画キュレーション」という仕組みを考えました。

──

「動画キュレーション」というのはどういうものでしょうか。

「キュレーション」というのは「まとめる」という意味合いです。これは博物館や美術館で、展示物の鑑定や研究を行い、分析しまとめあげ、展覧会を企画・管理する専門職である「キュレーター」からきています。そこから「大量の情報を収集・整理しユーザーに提供する」という汎用的な意味にもなっているのですが、今回は「道案内の動画」として「まとめる」技術を考えました。

具体的には、道案内するときに目立つ場所や曲がり角みたいなところを、実際に歩いた動画から自動的に抽出して、その部分だけゆっくり見せる、その他のただ真っ直ぐ歩いている部分は早送りで見せるという方式です。真っ直ぐ歩いているときは景色があまり変わらないですが、景色が大きく変わる変化点を動画上で自動的に見つけるためのアルゴリズム(問題を解決するための処理方法)をつくりました。

今回の「ならまち」内のストリートビュー動画においては、直線の経路は動画再生速度を上げ、曲がり角は再生速度をそれよりは下げることで、短時間での「道案内」を実現しています。

この「動画キュレーション」技術に、南都銀行の松山領さんが興味を持って「奈良観光に使えないでしょうか」と声をかけていただきました。それが、後に奈良先端大・南都銀行が連携して立ち上げた「地域共創推進室」によって「ならまちぐるり デジタルマップ」が実現するきっかけとなりました。「地域共創推進室」は2021年4月に設置されました。

──

南都銀行の方とは、どのように知り合われたのですか。

奈良先端大と奈良県との別のプロジェクトがきっかけでした。奈良県から「奈良先端大の技術を、奈良県の中小企業の活性化につなげたい」というお声がけがあって、奈良市観光協会さんや奈良交通さん、奈良高専(奈良工業高等専門学校)の先生方などと話をする機会がありました。そのプロジェクトで奈良銀行の松山さんとも知り合いました。

奈良先端大・南都銀行「地域共創推進室」ビジョン

──

2021年に「地域共創推進室」が立ち上がり、実際のデジタルマップがスタートしたのは2023年6月ですね。それまでにどういう積み重ねがあったのでしょうか。

2022年に一度トライアルをやっていて、それは奈良市内の10数ヶ所を一筆書きでまわる経路を「道案内動画」として見られるようにしたものでした。

──

実際の実証実験では、一筆書きではなくて自由に観光スポットを複数個所選ぶことができました。なるほど、少しずつ準備をして、改善していったのでしょうか。

はい。それだけ時間をかけて準備したひとつの理由は、「道案内」のベースとなるストリートビュー動画を集めることが必要なのですが、現状だと、人の力で撮るしかなくて、それが大変な作業だったからです。これはプロジェクトの中で、南都銀行の方々が基本的に動画収集していただきました。

──

歩くグーグルカーみたいなことをやっていただけたのですね。

まさしくそうですね。この器具(下記写真参照)を装備してもらって、ひたすら歩くんです。曲がり角を曲がるにも、スポットの回り方によって曲がり方の角度が違ったりしますが、その全てのパターンを撮影しました。

──

今回の「ならまちぐるりデジタルマップ」は「実証実験」とうかがいましたが、「実験」というには、対象となる観光スポットも、ならまち周辺のメジャーな寺社や人気のある店舗を網羅していて、商業的なキャンペーンとして見てもこなれている印象でした。
こういった場所に声をかけて、「観光振興」という趣旨をご理解いただき、掲載の許可をいただいて、クーポンも出していただいて、といった技術以外の準備も大変だったのではないでしょうか。

そこは南都銀行さんのお力で準備が進んだところです。

お店にしても、南都銀行さんが普段から顔を合わせている方々なので、どういうお店だったら、どう言えば受け入れていただけるか、のような勘所をご存知なんだなと感じました。
またお寺に対しても「今このお寺は祭事で忙しいから、それが終わった頃に相談に行きましょう」とタイミングを見計らっていただいたりしたことで、最終的には多くの場所にご協力いただくことができました。
新しい技術を活かそうとしても、やはり現場がわかっていないと活用するのは難しいことをあらためて感じたところです。

今回の試みとして、奈良への「旅前」「旅中」「旅後」という段階を考えたときに、「旅中」での道案内以外にも「旅前」「旅後」での体験の取り込みも図っています。

複数の観光スポットをつなぐ「道案内動画」は、「旅前」に計画を立てるときにも役立ちますし、「旅後」に「こんなところに行ってきました」と説明するときにも使えます。
また「デジタルマップ」のサイトから、南都銀行のグループ会社が運営する奈良専門オンラインショップの「ならわし」にリンクを貼ったので、「ちょっと買い忘れた」という場合、「旅後」に通販で取り寄せることもできます。

旅をする前から、旅を終わった後まで、全部サポートする仕組みを作れたことも1つポイントかなと思います。

「ならわし」サイトイメージ(リンクは本文後に表記)

──

実証実験をやってみて、どんな反響がありましたか。

良かった点と、残念だった点がありました。

良かったのは、JR奈良駅横の「奈良市総合観光案内所」に、スマートフォンと同じ仕組みで観光客が触ることができるデジタルサイネージを置かせていただいたのですが、プレスリリースをうち、現場で報道関係者向けにデモンストレーションを行ったので、今回のプロジェクトの紹介は比較的うまくいったかなと思っています。
また観光客の方が実際にクーポンを使って買い物をしていただいた、という話も聞いています。

残念だったのは、「どのくらいの人にリーチできたのだろうか」という意味では、実はあまりうまくいきませんでした。「なぜか」という理由は明らかで、「デジタルマップ」のサイトへの誘導をあまり考えていなかった、作って満足してしまったというところです。「サイトにいかに誘導するか」というのは、当時の私たちの研究課題ではありませんでした。

──

そうですね、研究というよりは、マーケティングの話になってきます。実際に私もサイトを拝見して、「道案内動画」がカチャカチャ動くのを見て「これはとても面白い」と思って今回の取材に至ったのですが、利用者がサイトを見つけて、観光スポットを選ぶところまで操作を進めないと、肝心の「道案内動画」を見ることはできません。

大学での研究として、どこまでリソースをさいていいのか、というのは難しいところですが、こういうものをやろうとした時に、やはり「どう誘導するのか」というのは課題だと思います。
そういったことを含めて、南都銀行さんとは今回の実証実績でとれたデータの分析を進めながら、次の展開を検討しているところです。

──

現在、他の観光振興を目的としたウェブサイトやアプリケーションで「観光スポットのおすすめ」までは表示されることがあります。
ここまでのお話しをうかがっていて、ユビキタスコンピューティングの領域で、センサーを使って実際の人の動きや感情までとらえて、その「おすすめ」が本人にとって良かったかどうかまでわかることができれば、より未来の観光のかたちにつながっていくのではないかと感じました。

その「感情」というところでいうと、同じ研究室の松田(松田裕貴 助教)を中心に「エモツアー」という研究を行っています。

これは「観光中の感情を推定する」ことを狙っています。
実験では、被験者に複数のセンサーをつけて観光してもらいます。センサーによって、目の瞳孔の開き具合や心拍を測定し、顔のセルフ動画を撮影し、加速度計で頭の首の振り方を見ています。測定や記録に結構なマシンパワーが必要なので、背負っているのはMacBook Proです。

この装置もかなり大きなものなので、実験中、まわりの方を驚かせてしまったこともありました。装置がコンパクトになり、できるだけ少ないデータでその人の観光中の感情を推定することができれば、デジタルマップでナビゲーションした結果、楽しかったのか、そうでなかったのかという情報をとることができます。

そういった情報が集まれば、同じような嗜好の人が来た場合に「ここはちょっと知られていない場所だけど、楽しんだ人が多かったので、推薦します」ということをデータに基づいて伝えることができます。同時に、同一個人であれば「あなたと同じような嗜好の方はこんな場所も楽しんでいましたよ」というように、次に訪問する場所を勧めることもできるようになります。

──

観光客は時間が限られますから、そういったおすすめをしてくれる仕組みがあるといいですね。

そのあたりが、先ほどお話しした「多目的最適」とつながってきます。その人の制約や複数の目的に合致し、カスタマイズされた推薦ナビゲーションが私たちの目指しているものです。

──

ひとりひとりの観光体験を最適化、最大化するために、デジタル技術が活かされるということなんですね。

ユビキタスコンピューティングシステム研究室 オープンキャンパス

──

研究の活用という点で「こういう研究成果が生まれそうだ、これはこう役に立ちそうだな」という発想のパターンが多いのでしょうか。それとも「こういうことができるといいよね、もしかすると今やっていることはうまく繋がるんじゃないか」というパターンと、どちらが多いでしょうか。

そうですね。ケースバイケースですが、研究者のタイプにもよるのだと思います。

「新しい技術を作りたい」という先生だと技術が先にあって、「こんなことに使えるのではないか」と話されていて、事業者から「これを実際に使いたいのですが」と引き合いがきたりします。

私は、どちらかと言うと、社会課題の解決というのがモチベーションになっています。現在は防災に関するプロジェクトにも力をいれています。
事業者から相談事が来たときに「何を解決したいか」というのをうかがうようにしています。課題が明確ではない場合は、お断わりする場合もあります。また、課題が既存技術で出来るなと思ったら「こういう会社さんがやっていますよ」とお伝えします。
一方、社会課題の解決にはつながるけれども、今の技術では難しそうだとなったときには「うまくいく保障はありませんが、研究にもなるので、一緒にやりましょう」と協業が始まる場合があります。

──

奈良にある大学院大学にお勤めされていて「奈良の観光振興をよりよくするためには、こんなことがあったらいいのではないか」といったご提言があれば、教えていただけますか。

私たちの研究テーマでもあるデータという視点から考えると、観光に関するデータの連携がより進むといいと考えています。

自治体はさまざまな調査を行っていますが、どのようなデータを公開しているのか、外部からだとなかなか見えません。また観光という分野で、鉄道・バス・タクシー・ホテル・飲食店などの事業者が、それぞれ別個に顧客に関するデータを持っています。データが散在していることから、それらをトータルで分析できる人たちもいません。

この状況はもったいないので、「データをみんなで出し合って共有しましょう。それを分析できる専門家の人たちも集めましょう」というのはあってもいいのかなと思います。

──

データを連携して、分析し、その結果を観光振興に活かすかたちですね。

そうですね。データ分析によって、自治体やそれぞれの事業者さんが、どんな施策をうったらいいのか、どんなところに力を入れたらいいのか、が明確になります。

奈良先端大との協業についても、データが充実していれば、観光振興に役立つさまざまなプロジェクトを前に進ませることができます。
例えば今後はベトナムからの観光客が増えるという予測データがもしあった場合に、翻訳については、奈良先端大に自然言語処理に強い研究室があります。
例えば「現時点の東大寺の状況」を観光客に見せようとしたときに、リアルタイムにビデオカメラで撮影していなくても、ある東大寺の画像をベースに、AIの画像加工技術を使って、春の桜の時期の画像や秋の紅葉の画像を自動的に生成できますし、「混雑度」のデータがあれば、その画像に疑似的に人を配置するようなこともできます。

求められているのは、観光に関する事業者や自治体、そして私たち大学が持っている情報のデジタル化とネットワーク化による「共創」なのです。

──

観光振興をはじめ、社会の課題に寄りそった今後の研究の成果を楽しみにしています。

東大寺 大仏殿の紅葉

諏訪 博彦

諏訪 博彦(すわ ひろひこ)

奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授 博士

1998年群馬大学社会情報学部卒業。2000年同大学院社会情報学研究科修了。2006年電気通信大学大学院情報システム学研究科修了(博士)。2006年から2014年まで電気通信大学にて助手・助教・研究員として勤務。2014年から2019年3月まで奈良先端科学技術大学院大学にて助手として勤務。2019年4月より、クロスアポイント制度にて、理化学研究所AIPセンターにて研究員および、奈良先端科学技術大学院大学にて特任准教授として勤務し、現在は同大学准教授。
現在の研究分野は、ユビキタスコンピューティングシステム、データマイニング、社会情報システム学。情報処理学会、電子情報通信学会、人工知能学会、社会情報学会などに所属。

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