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「ならわい」で奈良交通にワクワク体験を提案

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ナララボ編集部

ナララボ編集部

「ならわい」は奈良市が主催、一般社団法人TOMOSUが企画・運営を担当するプロジェクトです。
「奈良県外に住む参加者が、県内企業の新規事業立案に取り組むことで、奈良との継続的な関係を築くきっかけを作る」ことを目的としています。

県外からの参加者は、1グループ3名で、約4ヶ月間、奈良市での活動と、オンラインミーティングを併用して、県内の企業の新規事業を立案します。2022年に第1回が始まり、筆者は2024年9~12月の第3回プロジェクトに、提案メンバーとして参加しました。

「ならわい」に応募したきっかけやプロジェクトに取り組んだ感想、担当した奈良交通にどのような新規事業を提案したかについての体験記です。記事の後半では、他の提案メンバーとの座談会もお届けします。

CONTENTS

「ならわい2024」ウェブサイトより。参加者・企業・スタッフのみなさま

「ならわい」体験記

筆者が「ならわい」を知ったのは、奈良市のLINE公式アカウントでした。奈良市はLINEを通じて、積極的に情報発信を実施しています。奈良市公式ホームページのポータルとしての役割に加え、観光やイベント情報も週に2回ほどの頻度で配信されます。

「ならわい」プロジェクトが目指す「県外居住者と奈良県との継続的な関係づくり」という目的は、東京都内に住む筆者が、この「ナララボ」というウェブメディアを立ち上げ、奈良での地域活性化に活躍する方々にインタビューを繰り返すことで、奈良との継続的な関係を築こうとしていることに合致します。
「新規事業立案」という内容も、前職でグループ会社の設立等にかかわってきた、自身のキャリアにおいて大事なテーマのひとつであることから、応募することを決めました。

また今回の「ならわい」対象企業3社の中に「奈良交通」があったことも、応募のモチベーションとなりました。
前職での関西勤務時代には自家用車を持っていなかったこともあり、奈良での観光は、いつも鹿のマークの奈良交通のバスと共にありました。天川村やみたらい渓谷といった他県にはない魅力を持った、しかしながらアクセスが難しい観光地に、長時間、路線バスにゆられて行ったことは懐かしい記憶です。

奈良交通 定期観光バスにもお世話になりました

2024年6~7月には、対象企業各社ごとのオンライン説明会が実施され、各社の課題や新規事業の目的などについて、社員の方から丁寧な説明がありました。
その後、エントリーフォームでの応募となりましたが、フォームには「職務経歴」、「応募動機」の欄があり、筆者は各1000文字程度にまとめて記入しました。書類審査の後に、奈良市とTOMOSUのご担当者とのオンライン面談がありました。

応募者の中から3社の担当、それぞれ3名ずつ、9名のメンバーが選ばれますが、応募時点ではどの対象企業を担当するかは決まっていません。ただし、第1希望の企業、第2希望の企業と希望順位を登録することができました。結果、9月から「奈良交通」チームのメンバーとして、活動することが決まりました。

プロジェクトは、奈良県内現地での活動と、オンラインミーティングの組み合わせで進みます。

9月には、2日にわたって奈良市創業支援施設「BONCHI」での企業担当者との顔合わせ、「フィールドワーク」として企業訪問(「奈良交通」の場合は、多種多数のバスが並ぶ営業所見学)、「ならわい」運営事務局のみなさんや、他参加者の方々との懇親会が実施されました。
10~11月のオンラインミーティングを経て、12月には、ふたたび「BONCHI」にて、グループでまとめた新規事業提案を、企業の方に直接プレゼンテーションしました。

各グループには、事業計画策定などをサポートする「メンター」の方がついてくれます。奈良交通チームの「メンター」で、ご自身も県外から奈良県に移住されてきた安田 翔さんからは、数々の有益なアドバイスをもらえました。運営事務局の方々も、オンラインのSlack経由で迅速に問い合わせに対応してくれました。スタッフのみなさまには感謝の言葉もありません。

他の参加者とも親しく交流でき、今回の対象企業のひとつに奈良のプロバスケットボールチーム「バンビシャス奈良」があったことから、最終日の打ち上げではロートアリーナ奈良でのホームゲーム観戦で、大盛り上がりでした。

「ならわい」参加には、事前の書類審査や面談、参加費や県外から奈良までの交通費等の自己負担といったクリアすべき点もありますが、筆者にとっては、かけた時間と労力、お金以上の充実感を得ることができました。

最終発表会でのプレゼンテーション

奈良交通にワクワク体験を提案

「ならわい」プロジェクトでの各企業の新規事業のテーマは、「ならわい」公式ウェブサイトで公開されています(2025年2月現在)。今回、筆者は「奈良交通」の「貸切バスからカルチャーを。『バスを活用してワクワクする体験』を考える」というテーマに取り組みました。

このテーマに一緒にのぞんだのが、三重県のみりん職人の菱川 智恵(ひしかわ ちえ)さん、神奈川県在住、IT企業勤務の福井 貴大(ふくい たかひろ)さんです。「ならわい」ではメンバーをそれぞれニックネームで呼び合います。ちえちゃん、ふっくんと親しく相談しながら、奈良好きの3人が、どのような体験であれば、お客さまに奈良を楽しんで「ワクワク」してもらえるかどうか、知恵を絞ることになりました。

約4ヶ月間、どのようにテーマを検討して、新規事業提案をしたか、その概要をご紹介します。

奈良交通からは、貸切バスをとりまく課題のひとつとして、バスツアーの新規ユーザーを獲得できていないことがあげられました。
奈良交通を企画する県内を周遊するバスツアーのほとんどが関東在住の50代以上のお客様だそうです。
また月によってもかなりバスの稼働率が異なります。新緑の5月、紅葉の11月には稼働率は8割を超えますが、1月や7~8月などは5割を割り込むこともあるとのことでした。

そこで、まずは3人のメンバーで、普段バスを利用しない新たな顧客層を開拓するために、閑散期のバスを活用した奈良での「ワクワク体験」のアイディアを出し合うところから、検討を始めました。

上記のアイディアも含め、3人で17もの案を出しましたが、「メンター」の安田さんから、戦術レベルである「ワクワク体験」案を差別化するためにも、今回のプロジェクトにおける奈良交通の「ビジョン」を考えてみたら、というアドバイスがありました。

そこで、提案した「ワクワク体験」から、「ビジョン」を策定することになりました。

策定した「ビジョン」は「わたしたち(奈良交通)は、人と人をつなぎながら、はしり巡って、奈良のあちこちまで光をとどける」です。

奈良交通のバス網は、奈良県全域をカバーする奈良の一大インフラです。貸切バスで、奈良のあちこちを訪れて、心躍る体験と人との出会いを演出し、「光」=お客さまを届けることで、奈良を明るく、活力のある地域にしたい、というメンバーの思いのこもった「ビジョン」となりました。

続いて、この「ビジョン」を実現するための「戦略」や「戦術」を考えていきましたが、その中では「ワクワク体験は、単なるバスツアーに限らない」という考えから、バス自体を「ワクワクでできる場にしてしまおう」というアイディアも出ました。

数々の検討を経て、12月の最終発表会では「奈良で新しく生活を始める人にむけた、奈良の自然を守りつつ地域活性に貢献する人々と、ワークショップ形式でつながるワクワク体験」を提案しました。ここでのポイントも「ビジョン」から導き出された「人と人をつなぐ」というコンセプトです。

奈良の旅の魅力は、神社仏閣めぐりだけではありません。まずは奈良で新しく生活を始めた新入社員・転勤者・移住者・新入生の方に、奈良の地域活性に活躍する「守り人」とつながることで、奈良をより知ってもらい、好きになってもらい、その人の輪をさらに広げていく。それが少なからず、奈良交通の新規顧客層開拓にも貢献できるのではないかと考えています。

「アフターならわい」座談会

奈良交通のプロジェクトに共に取り組んだ、ちえちゃん(以下「ち」)、ふっくん(以下「ふ」)、筆者(聞き手)で、1月下旬にオンライン座談会を実施しました。

──

おふたりが「ならわい」に応募した動機を聞かせてもらえますか。

ち:

私は、奈良とのかかわりを増やして行きたいなと思っていたタイミングで「ならわい」を知り、奈良でいろいろな活動をされている方とのご縁がつながったらいいな、と思い応募しました。
あとは普段の仕事とは全く別なことに取り組むのも面白そうだと思いました。

ふ:

私は今回の「ならわい」の会場でもあったBONCHIを訪ねたのがきっかけでした。私も奈良に実家があり、帰省したときに、餅飯殿(もちいどの)商店街の中に、BONCHIというコワーキングスペースがあることは知っていたのですが、昨年のゴールデンウィークの頃に、中に入ってスタッフの方と話す機会がありました。
その後に「ならわい」の募集があったので、応募したのが経緯です。「ならわい」の内容を知って、奈良に戻って活動するときの第一歩となるプロジェクトではないかなと思いました。

──

実際に「ならわい」プロジェクトに約4ヶ月間取り組んでみた感想はいかがですか。

ち:

とても濃い4ヵ月間でした。
今まで新規プロジェクトを考えて提案するという機会がなかったので、ゼロから何かを生み出すことがとても難しく感じましたが、考えていく中でいろんな意見やアドバイスをいただいて、たくさん学びを得ましたし、提案が完成した時はとても嬉しかったです。

奈良にはこれまでもときどき帰ってはいましたが、参加したことによって、より奈良とのつながりが深くなったように感じています。
新しい人たちとの出会いから刺激をもらいましたし、プロジェクトの提案も無事に出来て本当に良かったです。あとは、提案したものが何かしらの形になり実現できたらいいなと思っています。

ふ:

私も奈良で、奈良好きな方々とお会いできたのがよかったです。リアルでお会いした方もいらっしゃいますし、「ならわい」のオンラインミーティングで講演していただいた方々の話も、今まで知らなかったことも多く、興味深かったです。

私は考える力があまり強くない方なので、本番のプレゼンまで自分が足をひっぱっているのではないかと心配したこともありました。

──

いやいや、アイディア出しの一番の功労者はふっくんではないでしょうか。ネーミングのセンスも抜群でした。

ふ:

プロジェクトのビジョンをつくっていくときなど、いままでフレームワークを立てて考えていくという経験があまりなかったので、必死でした。

──

おふたりは普段、奈良以外でお仕事されていますが、今後、奈良でどんなことをしていきたいか、教えてください。

ち:

2024年8月(「ならわい」参加以前)より、奈良県三宅町交流まちづくりセンターにある「MiiMo食堂(シェアキッチン)」にて、月に1回(第4金曜日)「みりんを楽しむお店」を出店しています。みりんにスポットを当てたメニューで、お弁当やスイーツ、ドリンクを提供しています。これからもこちらへの出店は続けていきたいですし、今年は奈良で自然農をやっていきたいと思っています。

まだまだ知らない魅力がある奈良のことをもっと知っていきたいですし、今後も面白い活動をされている方々と繋がっていけたらいいなと思っています。

ふ:

「ならわい」で出会った方々とのつながりをきっかけに、そこからさらに人とのつながりができたらなと思っています。奈良で事業されている方や移住された方とお話できるのは、とても貴重なので、そのような機会を増やしていきたいです。

──

ちえちゃん、ふっくんのおふたりとは、これからも奈良交通さんのプロジェクトなどを通して、永いお付き合いになればと思っています。ありがとうございました。

菱川 智恵

菱川 智恵(ひしかわ ちえ:ちえちゃん)

奈良県出身。現在は三重県「VISON」のみりん蔵で、伝統製法でのみりんの醸造と販売をおこなう。
みりんの魅力を伝えるために「みりんの会」「みりんスイーツ講座」などを開催。
「食」と「旅行」と「日本の手仕事」が好き。

福井 貴大

福井 貴大(ふくい たかひろ:ふっくん)

奈良県出身。大学まで奈良で暮らし、就職を機に上京。現在は神奈川県在住で、IT企業に勤務しながら定期的に奈良へ帰省し、奈良の魅力を再発見している。
「彩華ラーメン」、「みむろ杉」、「柿の葉寿司」が好物。

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